暇つぶしに書いたLoL民が見たら正気を疑う変なDota2ヒーローたちの続編記事です。
前回の記事がわりとリツイートされたので、二匹目のドジョウを狙ってLoL民が見たら正気を疑う変なDota2ヒーローたち2を書く…ふりをして今回はDota2に存在する、さまざまな試合を有利に運ぶためのトリックについて解説していきます。
DISCLAIMER:これを書いている私は3.8kくらいのノーブなので私が言うことが全て正しいとは限りません。
Deny
LoLのヘビープレイヤーならうっすらと存在くらいは聞いたことがあるかもしれません。
Denyは日本語では拒絶や否定を表しますが、Dota2では「味方ユニットを自分の手で殺す」ことを指します。
Dota2では味方のクリープ(ミニオン)のHPが50%未満になると、自分で味方クリープを攻撃することが出来るようになります。
もし味方クリープにトドメを指すことに成功すると、Deny扱いとなり、殺した味方クリープの頭上に!マークが表示されます。
では何故味方クリープを殺す必要があるのでしょうか?これにはさまざまな理由があります。
まず第一に、Denyしたクリープから敵はお金を受け取れません。当たり前ですよね。こちらが先に手を下しているのですから。
次に、Denyしたクリープからは経験値がほとんど入りません。これにより同じレーンに同じ時間いるのに、Denyされまくったせいで敵とのレベル差が著しい…という事態が発生することがあります。
そして最後に、Denyするとレーンが下がります。味方クリープが減るんですからこれもまあ当たり前ですね。
LoLでもそうですが、レーンを押しすぎるとGankされる可能性が上がってしまいます。MOBAでは基本的には、特に序盤ではレーンを上げ過ぎないというのがセオリーであるため、出来ることなら味方のクリープは積極的に処理していきたい所です。
さて、最初に私はDenyの事を「味方ユニットを自分の手で殺す」ことを指すと言いました。頭の回転が速いか、言葉尻を捕らえる事に執着心を燃やしている活動家タイプの人は気づいたかもしれませんが、味方ユニットとはタワーやヒーローも含まれます。
Dota2ではタワーもヒーローもヤバくなったらDenyすることが出来るのです。
まずタワーですが、タワーはHPが1割未満になると自分で自分のタワーに攻撃することが可能になります。
攻撃し続けてHPを0にすればDeny出来るので、出来ることならタワーHPが1割を切ったらもうスクラップにしてしまいましょう。
タワーが破壊されると、例によって相手チーム全体にゴールドが入るのですが、Denyするとその入るゴールドが半分になります。序盤ではかなり変わってくるのでけっこう重要です。
次にヒーローのDenyですが、これはヒーローのHPが25%以下になると可能になってきます。
ただし残念ながら、特定のDoT(継続ダメージ)スキルを受けているヒーローでなければDeny出来ません。それでもヒーローがDenyされるとお金は貰えないわ経験値ももらえないわで物凄く悲しい気持ちになりますけどね。
ヒーローによっては自殺スキルを持っている人もいます。例えばTeemoを食べたクソがひねり出したクソのようなヒーローであるTechiesの自爆スキルはDeny扱いになります。
うかつに近づけば自爆に巻き込まれてこっちが死ぬし、頑張って倒そうと思ったら自殺してDeny扱いになるしで本当に嫌な気持ちにさせるのが得意なヒーローです。削除されればいいのに。
ただ…DenyはDota2の基本テクニックの1つではありますが、自分がラストヒットを取るほうが重要であるため、ゲームを通してそんなの多く行われることはありません。
レーンのヒーローのラインナップによってはほぼすべてDenyされるなんてことも起こりえますが、そんなことはまず起こりません。
Denyの仕組みや、意味が拒絶だとか否定という事を学んだ所で1つ…Dota2とLoLに関しての有名なDota2ジョークを披露いたしましょう。
Dota2プレイヤーとLoLプレイヤーがバーに入ってきた。
会話の中で、Dota2プレイヤーは「LoLはクソゲー」と言ったが…
LoLプレイヤーはそれをDeny出来なかった。
…面白かったですね。はい次!
Stack
LoLではレーン以外にもジャングル内に中立がいます。ジャングラーや暇なキャリーはそれを狩ることにより、敵よりもちょっとだけ経験値とゴールド面で有利に立つことが出来ます。
Dotaでももちろん中立クリープの概念はあります。LoLと違って中立が特殊なバフを持っていたりはしませんが、Stackというテクニックを使うことにより、中立クリープ狩りの効率を2倍、3倍、4倍、というか無限に上げることが出来ます。

楽しいキャンプをする中立クリープたち
さて、Dota2では中立クリープが湧く条件は以下となっています。
- 中立クリープのスポーンポイント周辺にユニットがいない
- ゲーム時間が00秒
ゲーム時間が00秒というのはゲームタイマーの事を指します。Dota2ではUIの中央上部に時計が表示されているのですが…
これが例えば3:00になった時、5:00になった時、いつでも下二桁の数字が00になった時に中立クリープは出現します。
つまり、中立クリープを最大効率で狩ろうと思ったら1分以内に中立クリープを倒し、その場から離れた状態で00秒になるのを待てばいいわけですね。
しかし!何か気が付きませんか?この条件1と2に隠された、悪質な利用が出来そうな罠を…
もし中立クリープを全滅させていなくても、中立クリープを何らかの方法により中立クリープのスポーンポイントポイントから遠ざけた状態で00秒を迎えたら…?
そう、中立クリープを狩り終えていなくてもまた中立クリープが湧くのです。
完全にこれ仕様を悪用したバグですよね。でもDota2ではトリックの1つとして定着しています。Quakeのストレイフジャンプ(ジャンプして首振ると移動速度が早くなるアレ)やGunZの壁切りジャンプ(ジャンプして壁を切るとまたジャンプできるようになるアレ)みたいなもんですね。
優秀なサポートはゲームの合間にこうやってクリープをStackさせまくり、あとでCarryに一気に狩らせることによりCarryを育てます。
Stackする回数には上限が無いので、極端に言えばこんな事も出来ます。
Dota2にはLoLで言うドラゴンに相当するかなり強力な中立クリープも存在します。
Ancientクリープと呼ばれ、倒せばバフはもらえないものの、かなりの量のゴールドや経験値を得ることが出来ます
しかし、それ相応のステータスを持っているためゲーム中盤になるまで倒すことは出来ません。
そんなAncientクリープも例によってStack出来ます。
ヒーローによってはこのドラゴン相当のクリープも序盤からすぐ狩れたりするので、このStackがゲーム序〜中盤の差を付けたりすることがあります。
Pull
Dota2には中立クリープがいて、悪質なバグ利用により違法繁殖が公然と行われていることはつい先程書きましたが、実はDota2にはもう一つクリープの仕様を悪用した深刻なバグ…のふりをした高度なテクニックが存在します。
それがPullです。
Dota2の中立クリープは近づいたもの全てを殴るという習性があります。それはヒーローでもクリープでも変わりません。
ここまではまあありがちな感じですね。楽しくキャンプしてるのに変な奴らが近づいてきたら殴りたくなる気持ちも分かります。
さて、近づいたヒーローだけでなく、クリープも殴る習性がある中立クリープたちですが…もしレーンにいる味方クリープを中立クリープに近づけたらどうなるのでしょうか?
もちろん中立クリープは味方クリープを殴り始めます。味方クリープも近くにいる敵・中立クリープを殴るという習性を持っているため、どちらかが全滅するまで殴り続けます。
これだけ読むとまあ…そういう仕様なのかな?と思うだけだと思われるので、実際のPullの様子を動画で見てみましょう。
この動画では、レーンのすぐそばにある中立クリープを攻撃し、追ってきた中立クリープとレーンのクリープを鉢合わさせています。
レーンのクリープは中立クリープに引き寄せられて、レーンから外れ中立クリープを殴り始め、どちらかが全滅するまで殴りあいます。
これが何なのでしょうか?一見ありがちな風景に見えますが、実はとんでもないことが起きています。
Pullに成功し、味方のクリープが全滅すると、敵は1ウェーブ分の経験値とゴールドを受け取れないのです。
そりゃそうですよね。だってクリープは敵の森のなかに流れていってしまっており、そもそも自分のところまで来ないので、ラストヒットのとりようがありません。敵側はこっちのクリープを死ぬ所すら目撃できないので、経験値すら入りません。
Pullに成功するたび、そのレーンでの味方ヒーローと敵ヒーローの経験値・ゴールド差が大きくなっていきます。
レベル6になればUltを覚えるこのゲームでは、わずかながらも序盤の経験値・ゴールド差は見た目以上に大きな違いを生み出すため、ヒーローの組み合わせによってはそのレーンにいる敵ヒーローがいつまでたっても育てない…なんて事が起きます。
さらに、DotaやLoLといったMOBAでは中央を横切っている川よりも先のレーンでファームしているとGankされやすくなり危険というお決まりが存在します。Pullをすると強制的にレーンの前線を下げることができるので、敵へのプレッシャーともなり、味方へのフォローともなります。
ヒーローによってはPullされたらそのまま敵の森へ乗り込んでいってPullされているクリープと中立を倒して帰る…なんてことも可能なのですが、構成によっては常にPullされてレーンにいても経験値も金もまったく貯まらないなんて事も起こりえます。
これもどう考えてもバグですよね。でもトリックとして残っています。なんてゲームだ…
これらDeny、Stack、Pullは基本的にはサポートの役割とされています。なのでDota2のサポートはうまくなるたびにやることが増えていき、どんどん楽しくなっていきます。
私がプレイしていた頃のLoLのサポートはCarryの低級奴隷みたいな感じの役割となっていましたが、今はどうなのでしょうか。
Dota2にはDeny、Stack、Pull以外にも無限にCarryをサポートする方法は存在するので、LoLでサポートが好きな人は、Dota2に来たらその役割の多さにCarry並の充実感を得ることが出来るかもしれません。
アイテム置いて回復効率上昇
Dota2ではアイテムを他人に渡したり、地面に落としたり、分解することが出来ます。
購入したアイテムはテレポートするアイテムや回復アイテムを除き基本的には自分に紐付けられているので、味方に渡して味方を強化するなんてことは出来ません。
もしアイテムを地面に落としたり、他人に渡したりするともちろんその分アイテムから受けられるステータス上昇はなくなります。
落ちているアイテムは敵が拾ったり、壊すことも出来ます。なのでもし運悪く的に拾われてしまったり、壊されてしまった場合、そのアイテムは永遠に失われることになります。
なので基本的には持っているアイテムを落としたり渡したりする必要はありません。しかし…この仕組みを上手く使うとまた回復効率などでお得になったりします。
まず有名なのはTranquil Bootsの床置きでしょう。
Tranquil BootsというDota2の靴アイテムは「HPが物凄い勢いで回復するが、攻撃をしたりダメージを受けるとその効果は解除される」という効果を持っています。
アイテムを地面に置けるというDota2の仕様と組み合わせると、なんとなくバグの悪質利用のかおりがしてきますね〜
そう、このTranquil Boots…攻撃をする瞬間やダメージを受ける瞬間にインベントリに入っていなければ、回復効果は無くならないのです。
なので戦闘開始直前にこの靴を地面に落とし、戦闘終了直後に拾い直せばすぐに回復効果を受けられるのです。
でも落ちたアイテムは敵にも拾われたり、壊されたりしてしまう可能性がある事を考えると集団戦の時に地面に置くのはちょっと危険ですよね。
なので…このテクニックは主にジャングルに行くヒーローに重宝されます。
この技を使うと、特にこの画像に映っているAxeというヒーローはものすごい効率でジャングルを回れるようになります。
ただ、敵に透明になれるヒーローがいると置いた靴を拾われたり壊されたりしてしまうという悲劇が発生するのでこの森狩りは敵のラインナップを見てからやりましょう。
他にもアイテムを床に置くことにより回復効率を上昇させる技があります。
Dota2では自分のHPやマナを回復する手段として、BottleやArcane Bootsといったアイテムが存在します。これらのアイテムを使うと固定値でマナ等が回復するため、特に序盤ではかなりゲーム進行を楽にしてくれます。
ここまではありがちですが、この回復アイテムと、アイテムを落とすことにより上下する自分のステータスを組み合わせるととんでもないテクニックが生まれます。
Dota2ではアイテムを拾ってHPやマナが増えるとき、HPやマナは拾う前と同じ割合を保とうとします。
そのため、回復アイテムを使う前にHPやマナが増えるアイテムを地面に落とすと、割合ぶん多く回復の恩恵を受けることが出来る様になるのです。
多分よく分からなかったと思うので、実際にどんな感じかを書いてみます。
例えば自分のHPが500で、HPが1000増えるアイテムを持っているとします。
敵の攻撃によりHPが1になったので、SalveというHPが400回復するアイテムを使い回復する場合、もし普通にSalveを使うとHPは401/1500まで回復することになります。だいたい総HPの26%ほど回復することが出来ました。
しかしHPが1000上がるアイテムをその場に落とし、HP最大値を500にした状態でSalveを使うとHPは401/500まで回復することになります。だいたい総HPの8割ですね。
その状態でHPが1000上がるアイテムを拾うと、Dota2ではアイテムによりHPが上昇するとき同じ割合を保とうとするため、HPは1203/1500となるのです。
常識的に考えてあってはならない挙動ですよね。Dota2に勝つために卑劣な輩が頭を捻りまくってひねくりだしたDota2の仕様を悪用したトリックです。
この例では分かりやすくするため実際にはありえないかなり極端な例を出しましたが、仕組みは同じです。ただ、極端な例であるため実際に得られるHPやマナ量はこの例と比べるとスキル一発分くらいだったりと、実はそこまで大した量ではないのですが…それでもやり続ける人はいます。
これだけみるとできたらいつでもやるべきにも見えますが…実際には「地面に落ちているアイテムは敵も拾えるし壊されることもある」という仕様のお陰で悲劇もかなり起きているため、人によってはこれを断固拒否する人もいます。私みたいに。
プロですらこれをやろうとしてアイテムを破壊される事があります。以下はプロがこのトリックをやろうとしてアイテムを破壊される動画をスローモーションで撮影した動画です。
この動画の何が最悪かと言うと、アイテムが壊されたこと自体よりむしろこれが起きたのはDota2最大の世界大会であるThe International 2015中に起きた点です。
Dota2はesports界の中で最も多額の賞金が掛かっているので、ひとつ順位が上がるだけでもチームが手にできる賞金額は5千万円以上違ったりします。公式の世界大会であるので受けられる名誉も段違いです。
その世界大会でアイテムを落として壊されるという失態…上の動画では普段かなりテンションが高い実況者たちも「うわああすごいプレーが出てしまった~!!」みたいな感じではなく、「Oh…」みたいな感じになっていました。Oh…
Dota2はもともと個人が作っていたMODなので、このようなほとんどバグっぽい仕様がテクニックとして残っているのかもしれません。
でもバグが仕様として意図的に残されるって、夢がありますよね…
以下ジャンプをして首をふると移動速度が上昇したり、連続でジャンプをすると移動速度が落ちなくなったり、前進ボタンを押さずに横移動ボタンを押すと物凄い角度で曲がれたり、足元にロケランを撃つと爆風で大きくジャンプ出来るといった変なバグが公式に仕様化されたせいでプレイ動画が奇っ怪になってしまった夢のあるゲームことQuakeの動画
Divine Rapier
最後に紹介するはDivine Rapierです。聖剣と呼ばれているこの神の剣ですが、単純に攻撃力+330という効果を持っています。
ゲームによってダメージ量や攻撃の計算方法は全く変わってくるので、攻撃力+330ではピンと来ないと思います。
ですが、Dota2のゲーム超後半の育ちきったDivine Rapierを持っていないキャリーの攻撃力が、アイテム全て合わせて300〜500くらいになると言えばこのアイテムの攻撃力+330がどんだけ頭の狂った数値か一発で理解できるはずです。
ゲームの流れを一気に変える可能性があるアイテムと言う事で、このアイテムが大会で買われると大いに盛り上がります。
一見全てのキャリーが持つべき最強装備にも見えますが、それでもあまり買われることはありません。何故でしょうか?
それではこのDivine Rapierの効果にあります。この最強アイテムはなんと「所有者が死ぬと地面に落ちる」という効果を持っているのです。
もちろん地面に落ちたRapierは誰でも拾うことが出来ます。敵のキャリーも例外ではありません。
まさに諸刃の剣ですね。ゲームをものすごく有利にしてくれる可能性と、ものすごく不利にしてしまう可能性の両方を持ち合わせているのがこのアイテムというわけです。
このアイテムは負けているチームが起死回生の策として買うパターンが多いのですが、自分の殴り攻撃が範囲攻撃になる系のスキルを持ったヒーローとの相性がとても良いため、そのようなヒーローがいるチームが一撃虐殺を狙って買うこともあります。
どちらにせよ買うにはあまりにもリスキーなアイテムであるため、通常のゲーム内で買われることはめったにありません。だからこそ大会で買われると盛り上がるわけですね。
とりあえずLoL民が見たらちょっと驚く変なDota2テクニックと仕様はこれくらいです。
本当はあと2〜3個くらい書くべきことあったような気がするし、アニカ決定的なものが足りない気がするのですが、思いつかなかったのでヤメにします。思い出したら追記するネ